型を破って内面の無限の可能性に出会う

<コリアンスピリット新聞・ブレインメディア共同企画>
幸せな人間性英才の夢さがしプロジェクト第2弾-ファン・ヒョンシク

学校という型にはまった生徒だった。勉強もよくできた。でも、やりたくてしたのではなく、しなければならないからしただけ。目立つ生徒でもなかった。自分から名乗り出たことはない。授業中に当てられて本読みをするだけでも顔は真っ赤になって胸はドキドキ。班長や副班長をやってみようなんて考えたこともない。

平凡だったファン・ヒョンシク君(19)がベンジャミン人間性英才学校に入学したきっかけは、特別な子たちに出会ったからだ。9月5日、写真展を見るためにソウルにやってきたファン・ヒョンシク君に話を聞いてみた。

 

▲ ベンジャミン人間性英才学校 慶北学習館のファン・ヒョンシク
▲ ベンジャミン人間性英才学校 慶北学習館のファン・ヒョンシク

 

「昨年11月にソウルの光化門で行われたベンジャミン・フェスティバルでベンジャミンの生徒が自分の成長ストーリーを発表しているのを見てショックを受けました。私と同じ年なのに、その子たちはベンジャミン学校で自分がしたいことを自分で決めて実行しているというのですから。自分の人生を自分で作っているということが感じられました」

 

誰かに決められたことをするのではなく、自分で自分の人生を選択して創造したかった。ヒョンシク君は、両親をしつこく説得して同意を得て、2015年3月にベンジャミン学校2期生として入学した。

 

韓国初の完全自由学年制を実施する代替学校であるベンジャミン学校に入学するために、ヒョンシク君はそれまで通っていた学校をやめた。型にはまった思考と行動に慣れていたヒョンシク君がベンジャミン学校の入学に際し決心したことは一つ。「なんでもやってみよう!」

 

ヒョンシク君は 3月に入学してから6か月間、本当にいろんなことをした。

・5月(2泊3日) 慶尚北道~釜山 300km 自転車縦断

・7月(6泊7日) 慶尚北道~忠清南道・天安 300km 徒歩縦断

・7月末~ SNSで自己省察メッセージの共有「ホワイトホールプロジェクト」

・8月初旬 2日間で企画・練習し、3,000人の前で演劇公演

・8月(5泊 6日) 全羅北道・全州~釜山 列車旅

 

9月にはベンジャミン学校の必須課程「グローバルリーダーシップ地球市民キャンプ」のためもアメリカへ行く。そして、10月には再度自転車ツアーを、12月には写真展示会を企画している。「学校」という型から抜け出しただけなのに、ヒョンシク君は完全に別人になった。

 

▲ 演劇公演をした友達と共に
▲ 演劇公演をした友達と共に

 

「3月に入学した時は、何をすればいいか分からず、さまよっていました。今まで言われたことだけしてきたのに、突然、何でもやってみろと言われても、何をどうすればいいかまったく分かりませんでした。

その時に何でもやってみようという思いで始めたプロジェクトが、5月の自転車縦断の旅です。本当にやってみたかったことでしたが、実際に始めてみると、どこで寝るか、食事はどうするか、自分の体は今どんな状態か、今日はどこまで行けるのか等、いろんな問題が出てきました。ベンジャミン慶北学習館のホヨン君と2人でしたこのプロジェクトをきっかけに、とても責任感が強くなりました」

 

何でもチャレンジして経験しているヒョンシク君だが、以前の自分を振り返り、「始めるのが大変だった」と語った。やったことがないことに対する恐れが大きかった。怖がって、できないと思っているから最初の一歩を踏み出すのにいつも時間がかかった。

 

ところが、ベンジャミン学校の入学願書を書き、「選択するだけでも変化する」ことを体験した。その後、ヒョンシク君は何をするにもためらわなくなった。

 

「11月に願書を出してからは『僕はこれからベンジャミン人間性英才学校の生徒だから人間性英才の5徳(集中力・忍耐力・創造力・責任感・包容力)を身につけなきゃ』と思って過ごしました。その頃から自分を誇らしく思え、ためらったり先延ばしにする癖が減っていきました。

最近は、怖がって先延ばしにするのではなくただやってみます。やっていくうちに大変なことがあるかもしれませんが大丈夫です。実際にやれば、楽しくやり遂げられることを知っているから」

 

▲ 「明日に向かって~列車旅」 ベンジャミン学校 慶北学習館の友達7人と。
▲ 「明日に向かって~列車旅」 ベンジャミン学校 慶北学習館の友達7人と。

 

変化はそれだけではなかった。ベンジャミン学校 慶北学習館の代表を務めるヒョンシク君は先生や友達からリーダーシップを認められている。この日、写真展を見るためにヒョンシク君と一緒にソウルを訪れたグォン・ミジョンさん(18)は「生徒たちの面倒をよく見てくれます。皆がヒョンシク君をリーダーと認めてとても頼っている」と語った。

「昔は暗かったです。感情もうまくコントロールできませんでした。でも今は、周りから明るくなったとよく言われます。自分が今どんな感情があるのか眺める力がつきました。

リーダーシップについては自分でも知りませんでした。一般の学校に通っていた頃は、面倒を見たり世話をしたりする人が周りにいませんでした。ものすごく親しい友達でもない限り、1人で勉強してテストを受けて自分のことは自分でするのが学校だから。しゃべるのが好きだし上手だということも最近知りました。
ベンジャミン学校では、自分を表現する機会が多いです。人前で話すこともよくあります。そうしながら自分も知らなかった自分のいろんな面をたくさん見つけています」

▲ ヒョンシク君とメンターのキム・ヒョンタク氏(ソウルホソ芸術実用専門学校、前KBS 映像制作局長)
▲ ヒョンシク君とメンターのキム・ヒョンタク氏(ソウルホソ芸術実用専門学校、前KBS 映像制作局長)

ヒョンシク君は、世間を知れば知るほど自分の中の新たな扉を開いている。するとますます夢に対する悩みが増えた。昔は写真が好きだからそれを仕事にしたいというくらいだったが、最近は人の悩みを聞いてあげるのも好きだし、人々を楽しませることも好きだ。韓屋(韓国の伝統家屋)への関心も強くなった。

 

「やりたいことをしながら、いろんな進路の可能性を開いておくようになりました。カメラマンになりたいという思い、レクリエーション講師、心理カウンセラー、韓屋建築家など、10年後に私が何をしているかは分かりません。でも、はっきり分かることは、それが何であれ楽しみだということです。

 

そして、世間を知れば知るほど、学ぶべきことが本当にたくさんあると感じるようになりました。私がベンジャミン学校で過ごす残りの6か月間は、高校卒業程度認定試験と大学受験のため勉強も体系的にしながら本もたくさん読みたいです。内面を育てる時間になるように」

 

最後に、ベンジャミン学校に対するヒョンシク君の定義を聞いてみた。

「私にとってのベンジャミン人間性英才学校は、人生勉強です。

10年後にできそうなこと、10年後にも考えていそうなことを今、経験しています。いろんな人と出会ったり、いろいろ考えたり悩んだりもしながら。人生勉強ができる素敵な学校です」